第63話 認知症対策に有効な民事信託(1)

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~ 認知症になってからの遺言は無効 ~

 

 最近、「親が認知症なので、今の内に遺言を…」という御相談が圧倒的に多くなってきました。特に推定相続人(配偶者や子供達)のうち、子供達は必死です。

しかしながら、簡単に説明すると、認知症になってしまってからの遺言は、無効です。難しい言葉でいうと、事理弁識能力(意思能力)に欠けている状況での遺言は無効となります。
 そのため、相談を受ける中でも、遺言の有効・無効を争うケースも少なくありません。当然、このようなケースは、自筆証書遺言といって、遺言者(遺言を作成した人)が自筆で作成した遺言書が多く、法的要件が満たされているかをはじめ、記載方法等に不備が多く、且つ公正証書遺言等と異なり、作成した時点での遺言者の事理弁識能力を証明する人がいません。
 公正証書遺言の場合は、公証人(国家公務員であるが、実は自営業)の他にも2人の証人を要することから、意思能力を確認しているため、公正証書遺言においての作成時の遺言者の事理弁識能力を争うケースはさほど多くはありませんが、残念ながら、人間の行う事なので、多少の例外もあり、争うケースが無いわけではありません。
 一方で、「不動産の売買契約を締結したものの、ご本人(売主)が高齢で認知症になってしまった…」という御相談も多くいただきます。
 不動産取引において、一般的には、買主は、売買代金の全額の支払い(引渡し=決済)後、速やかに「所有権移転登記」といって、その登記上の名義を自身の名義に変更する登記を行います。この登記手続は、一般的には、司法書士が行いますが、司法書士は、その際、売主の本人確認をしなければならず、この本人確認時に、売主が様々な法令に該当する者か否かを確認すると同時に、本人の意思能力の有無も確認します。
 そのため、いくら売主が、売買契約締結時に意思能力がはっきりとしていたとしても、決済時の司法書士による本人確認の時点で意思能力を欠いている場合、どんなに必要な書類が揃っていたり、推定相続人が売却しても問題ないという主張をしたりしても、原則として相続が発生するまで、所有権の移転をすることができません。
 上記は、あくまで原則であり、原則には例外があります。その例外の1つとして、「後見制度」があります。

次回はこれについて取り上げてみたいと思います。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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