マイナンバーが漏えいした場合の損害賠償額は、いったいいくらになるのでしょうか?これには色々と議論があります。マイナンバーは、数字の羅列にすぎずそれ自体に価値はないと主張する論者もいれば、マイナンバーが今後紐づけされるであろう情報の重要性(納税額のほかに、治療歴や財産状況など)から極めて価値の高い情報であると主張する論者もいます。
論者によって、1件あたり、0円、500円、1万円、3万円など大きく異なり、議論が固まっていない状態です(なお、弁護費用相当額を除きます)。
0円は、マイナンバーが無価値という考えを突き詰めると導かれます。
500円は、情報漏えいの際に企業が初期対応として提示することが多い賠償額です。これについては、金券などの送付が多いようです。ただし、500円は、判決によって認められた金額ではなく、諸般の事情から経営判断として導きだした金額です。
1万円は、基本4情報といわれる氏名、住所、性別、生年月日が漏えいした場合に認められるであろう賠償額です。(宇治市住基データ漏えい事件)
3万円は、機密情報が漏えいし、いたずら電話などの実害が生じた場合に過去に認められた賠償額です。(エステ会社情報漏えい事件)
結局は、マイナンバーとともにどのような情報が漏れたかによって賠償額が変わります。
マイナンバーと基本4情報がセットで流出した場合には、1件当たり1万円と予想されますし、マイナンバーと氏名の他に、治療歴や財産状況などの機密情報が流出した場合には、1件当たり3万円を超えると予想されます。
そして、マイナンバー単体の流出の場合ですが、しばらくは賠償額としては大きくはならないと思われますが、マイナンバーは、個人の情報を紐づける「キー情報」ですので、「名簿屋」が今後、違法にマイナンバーとそれに紐づけられる情報を収集・蓄積していくことが予想されますので、マイナンバーだけでもかなりの価値(実害)が生じると予想されます。もちろん、目的外収集は違法です。
そのため、時間の経過とともに、マイナンバーそのものの賠償額が今後高騰していくことが予想されます。