第219話 熟年別居 (6)

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妻が別居を始める場合、特有財産(妻名義の財産、結婚前からの財産)は自由に持ち出せます。しかし夫の財産を勝手に持ち出すことはできません。夫名義の通帳や印鑑(実質的共有財産/結婚中に夫婦が協力して取得した財産で、夫婦の一方の名義になっているもの)を妻が持っていたとしても持ち出すことはできません。

養育費、婚姻費用分担としても、予め夫が合意をした場合を除き、勝手に持ち出すことはできません。

夫に養育費や婚姻費用分担の義務があるとしても、それを支払ってもらうには、家庭裁判所に調停や審判で認めてもらう必要があります。

では、妻が養育費や婚姻費用分担として夫名義の預金や印鑑を勝手に持ち出した場合はどうなるでしょうか。
実際には夫が婚姻費用の前払いとして自分の預金の一部を妻が生活費に充当することを事後的に認めるのが一般的であり、状況に応じて考える必要があります。

妻が別居を始めた際、夫が保管していた国債などを持ち出して使ったというケースで、国債の一部を夫婦の実質的共有財産とした上で、「婚姻関係が悪化して、夫婦の一方が別居を決意して家を出る際、夫婦の実質的共有に属する財産を持ち出したとしても、その財産が将来の財産分与として考えられる対象、範囲を著しく逸脱するとか、他方を困惑させる等不当な目的をもって持ち出したなどの事情のない限り、違法性はない」として、夫の請求した損害賠償等を認めなかった判例があります。(東京地裁平成4年8月26日)さらにこの判決は現金についても、「婚姻中、夫から妻に交付される金銭は、妻において生活費等に使うことが許される性質のものであるから、妻が手許に保留しているとか、違法に使用したりしない限り、その返還を求めたり、損害賠償を請求することはできない」としています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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