第229話 差し押さえ問題 (3)

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 昨年末に実施された全国一斉「税金・国保料滞納・差押ホットライン」には税金や保険料を滞納して厳しい取り立てを受けている納税者から、「生活できない」「逃げたい」「生きていけない」といった切実な訴えが数多く寄せられています。滞納する納税者には、もちろん問題があるとは思いますが、やりすぎとも思える徴収の実態がそこにはあります。目に余るのが地方税の徴収で、国税は差し押さえなどの強硬な手段を行使するにあたっては、あくまでも納税者の実情を考慮することをうたっています。もちろん建前上のこともありますが、それでも地方税の現場に比べれば、納税者に寄り添う姿勢が見受けられます。

 実例をあげますと、

 月額5万円の分納を申し出たところ拒否されたうえで「全額納付か会社を解散しろ」と迫られ、前途を悲観して自殺した静岡県内での事件。

 7人家族を移動式たこ焼き専用車で養う人が、滞納にあたってその車をタイヤロックされて収入がゼロになり、一家で岸壁から飛び降りた熊本県内での事件(6人死亡)。

 本来、差押禁止財産である子供手当を差し押さえられて長い裁判を戦った鳥取県内の例・差押禁止財産である年金を差し押さえられた77歳の男性が所持金110円という状況で餓死しているのが発見された千葉県内の例、これらの2つめ以降がすべて地方税の事案であります。

 差押禁止財産の差し押さえを強行した自治体では、「口座に振り込まれて現金化されれば差し押さえできる」とした98年の最高裁判決を法的根拠に挙げておりますが、それにしても77歳の年金を差し押さえるのは行き過ぎではないでしょうか?

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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