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 リニア中央新幹線の時速500キロで走る車窓の景色はどんなものなのだろう、と「夢」を持つ人も多いでしょうが、実際は線路延長距離約286kmのうち、86%にもおよぶ247kmがトンネルです。地上走行区間も、防音のための厳重なフードに覆われるため、窓の外の景色はほとんど見ることはできません。

  従来の新幹線方式でも、最新の技術で直線を走れば、時速350キロ~400キロくらいのスピードを出すことは可能です。目のくらむような巨額のコストを注いで、これ以上のスピードアップをする必要があるのかという疑問は当然残ります。

 また、リニア新幹線は、線路の上を走るのではなく、トンネルの中を浮いて飛んでいく格好なので、気圧の低い空の上を飛ぶ飛行機とは違い、空気抵抗が大きくなります。超スピードで走行することも含めて、通常の新幹線の3倍以上の電力が必要となります。10編成が同時に走るには原発3基が必要になる試算になります。運営的にも「省エネ」時代に真っ向から逆行する乗物だといえるでしょう。

 リニアの技術については、世界でもドイツなど各国で「実用化は無意味」と判断して開発をやめています。ドイツでは、リニアの実験線まで建設しましたが、「確実な需要が見込めない」ことや、「ほかの線路とのネットワーク性がない」などの理由で2000年にベルリン─ハンブルグ間の計画を国会が中止しています。

 現在の東海道新幹線の乗車率は平均6割ほどで、日本も人口減少がすすみ、企業の出張も減っている中で、リニアが必要なほど東京─大阪間の移動の需要が増える見通しは立っていません。

 また、リニアは地下40メートル以上の大深度地下を通るので、物資の輸送には不向きで、地上のように途中で補給もできません。しかも、リニアの車両は、他の新幹線の線路を走れないので、東海道新幹線のバックアップの役割も果せません。

 リニアも英仏のコンコルドのような無駄な公共事業にならないよう祈るだけです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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