第337話 公文書偽造罪 (3)

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政府が公文書を都合よく変えて国会に提出していたという事実。それは国権の最高機関である立法府を欺き、ひいては国民を侮辱する行為にほかなりません。罪は極めて重いといえます。財務省の調査報告によれば、改ざんの時期は、森友問題が発覚した昨年2月から4月で、書き換えは実に14の文書に及んでいます。この深刻な事態を招いた麻生太郎副総理兼財務相、さらには安倍晋三首相の政治責任は免れないと思います。

 しかも、「本件の特殊性」といった文言のほか、安倍首相や妻昭恵氏の名が記されていた部分も原本から削除されていました。

 これについて公文書偽造罪等の刑法上の「文書犯罪」が成立するのかどうか。

 問題は、第1に、国会議員に提出した「決裁文書の写し」が偽造・変造等の対象となる「公文書」に当たるのか、第2に公文書偽造・変造罪の成否、第3に虚偽公文書作成罪の成否です。

 第1の点は、「原本の写であっても、原本と同一の意識内容を保有し、証明文書としてこれと同様の社会的機能と信用性を有するものと認められる限り、公文書偽造罪の客体となる」との判例(最判昭和51年4月30日)もあるので、書き換えた「決裁文書の写し」を国会議員に提出し、決裁文書の原本が同一の内容だと信じさせた本件において、「写し」であることが公文書偽造・変造等が成立の妨げにはなることはありません。

 第2に、公文書偽造・変造罪の成否ですが、それらが成立するのは、決裁文書の作成権限者以外の者が、その了解なく、作成権限者の名義で勝手に公文書を作成した場合です。作成権限者の了解の下に作成したのであれば偽造・変造罪は成立しません。決裁当時の作成権限者が既に異動している場合は、職務権限規程の内容によりますが、書き換えた時の作成権限者が書き換えを了解できると解し得る場合が多いと思われます。決裁文書の書き換えについて、公文書偽造・変造罪が成立する可能性はいたって低いと思います。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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