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 トランプ大統領は、鉄鋼とアルミが安く輸入されていることが安全保障上の脅威になっているとして、輸入制限の発動を正式決定しました。カナダ、メキシコ、欧州連合、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルと韓国が一時的に除外対象とする一方、日本は含まれておりません。日本は、早くも反発しています。
 トランプ大統領は、3月8日、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す輸入制限措置を発動する文書に署名しました。輸入制限は3月23日に発動しています。
 これに先立って行われた閣議で、トランプ大統領は、「国によって、関税を上げ下げしたり除外したり加えたりする権利がわたしにはある」と述べ日本を含む同盟国については、協議次第で除外対象とする余地を残していましたが、日本は対象に選ばれませんでした。

 これは、輸入制限は安保上の脅威を理由に一方的な対抗措置を取ることができると定めた米通商拡大法232条に基づく措置です。しかし安全保障上の脅威というのは建前であり、実体は中国製品を主なターゲットに輸入制限を実施することで、貿易赤字全体の縮小を図る一方、関連する米国メーカーの要求に応えるものです。さらにそうした政策の背景には、下院での共和党の劣勢が見込まれている中間選挙を有利にするための政策理念が隠されています。
 米商務省によると、2017年(1~10月)に米国が輸入した鉄鋼の金額は、カナダ、ブラジル、韓国の順となっており、日本は7位、中国は11位でした。しかし中国は他国を迂回した米国への輸出が多いとの判断から、中国製品を主なターゲットにしつつも、一部の国を除いて一律の関税を課す方針へと米政府は傾いているのです。

しかしその結果、米国での輸入措置の方針は、中国以外の多くの国、地域からも強い反発を得るに至っています。世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長は2日、米政府の鉄鋼などの輸入制限の発動方針について「明確な懸念」と表明しました。
 日本では世耕経済産業相が3月3日に、ロス米商務長官と電話協議し、鉄鋼とアルミニウムの関税を引き上げる方針に強い懸念を伝え、「日本の鉄鋼は日本企業や米企業にも不可欠で、米雇用にも影響する」と訴えています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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