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 各国が自国の利害を優先して、保護主義的な通商政策を強めることによって、いわば合成の誤謬のような形で世界経済が委縮してしまうことは、世界恐慌をきっかけに1930年代初頭にかけて実際に経験してきたところです。しかし現在の米国での拡張的な税・財政政策や保護主義的な通商政策は、経済が良好な中で実施されている点が大きく異なります。この面から、こうした政策は、経済環境が生じさせたというよりも、政策理念的な側面に基づいているというのが歴史的な観点からも大きな特徴といえます。
 当初はトランプ政権の経済政策に対する不信感という金融市場の警鐘との側面も帯びて生じた足もとでの経済・金融情勢の動揺は、トランプ政権がこの市場の警鐘を無視して、実際の保護主義的な通商政策により傾いたことによって、米国及び世界の経済問題としてさらに発展する様相を見せています。その悪影響を金融市場がさらに懸念して金利上昇、株価下落が進み、それが実体経済に明確な悪影響を与える場合には、金融市場と実体経済との間で悪循環が生じてしまいます。そうなれば、好調を維持してきた世界経済が、俄かに変調をきたす可能性も覚悟しておかなければなりません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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