de2f862b375707dd574336617b8e09d0_s

 現在の証券税制では、株の譲渡損失が生じた場合、他の株の譲渡益や配当と損益通算して相殺することができます。
 また、損益通算をしてもなお損失が残る場合は、その損失を翌年以降3年間、繰越控除することもできます。
 なお、2014年1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)ですが、投資元本120万円までから出た利益が非課税となるものの、損益通算・繰越控除は受けられません。特定口座とNISA口座は別ですので注意しましょう。
 源泉徴収選択口座内で出た儲けからは所得税15%、復興特別所得税 0.315%、住民税5%が差し引かれます。このとき問われるのは、株の譲渡損益と配当の有無だけです。

 例えば、ほかに収入のない専業主婦のような方をイメージしてみてください。この方が70万円で取得した株を100万円で売却した場合、儲けは30万円です(譲渡手数料は考慮しません)。

源泉徴収選択口座内であれば、次の税額が天引きされます。

  • 所得税15%=4万5000円
  • 復興特別所得税 0.315%=945円
  • 住民税5%=1万5000円

しかし本来、所得税額を計算するにあたっては、所得に税率が課されるのではなく、課税所得に税率が課されます。課税所得とは、14種類の所得控除が考慮された後の金額。ここに税率が課されるのです。

 この例では他に収入がなく、基礎控除38万円だけを譲渡所得から差し引くことができます。

  • 所得30万円-基礎控除38万円=△8万円→0円

 

つまり、税率が課される課税所得は0円です。源泉徴収選択口座内で差し引かれた所得税15%、復興特別所得税 0.315%、住民税5%はそもそも払う必要がなく、確定申告をすれば還付されます。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。