第392話 迷惑な人違い

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 茨城県那珂市はこのほど、市民税などを滞納した会社の預金口座を差し押さえる際、誤って同名の別会社の預貯金を差し押さえたことを公表しました。会見した海野徹市長は「関係する方々に深くお詫びする」と陳謝しました。

 滞納していたのは水戸市の会社で、那珂市に住民票のある従業員1人について、給与から源泉徴収する個人市民税・県民税を64,000円分納めていませんでした。市は滞納分の徴収のために金融機関に会社の口座を照会し、その際に金融機関は誤って同名の別会社の口座について回答してしまい、市は住所の確認を怠り、そのまま預金を差し押さえたようです。市は全額を返金しました。

 自治体の人違いによる同名別人の差し押さえは全国各地で起きています。昨年7月には熊本市が、固定資産税の滞納を巡って同姓同名の別人の預金を差し押さえるというケースがありました。また9月にも神奈川県茅ケ崎市で、同姓同名で生年月日も同じ別人の生命保険解約返戻金を差し押さえています。

 もし仮にあなたの預金口座が心当たりのない市の差し押さえで残高が0になっていたらどう対応したらいいのか…。

 これについては、行政不服審査法に基づき、市長に対して異議申立てを行うことができます。この時の誤認差押えをした徴税吏員の過失は明らかですので、市を被告として、国家賠償請求訴訟を提起することが最も効果的であると思われます。その際、誤認差押えをした徴税吏員を被告とすることはできず、市を被告とすべきであるというのが判例の立場です。

 いずれにせよ差し押さえのミスによって損害が生じれば、その賠償もまた税金で賄われることになるだけに、徴収事務に携わる自治体の意識の低さが露呈したと言われてもやむを得ないところです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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