第426話 狙われる海外資産

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 平成28年度の相続税の実地調査12,116件のうち、海外資産を持っている人への調査は917件だったことが国税庁の発表で明らかになっています。海外資産関連調査は4年連続上昇し、統計が開始された平成13年以降で最多。28年の917件は、13年(117件)の7.8倍にもなっています。

 海外資産関連の調査917件で申告漏れなどの非違が発見された件数は117件。申告漏れ課税価格は52億円、非違1件当たりの価格は4,483万円でした。

 地域別非違件数を見ると、北米が65件と最多。アジア30件、欧州19件、オセアニア9件と続きます。非違があった財産は、現金・預貯金が58件で最多で、有価証券20件、不動産20件でした。

 このように海外資産関連事案については、税務当局が近年特に力を入れて調査に取り組んでおり、実地調査率を上げています。

一つ事例を挙げると、当初の相続税申告や、聞き取り調査の際には、相続人が海外預金を隠していましたが、国外送金等調書の記録から、海外預金が把握され、

この相続人は、相続開始後に海外預金の移動を行っており、海外預金を把握していたのにもかかわらずその存在を隠していたため、重加算税が課されています。

税務当局が金融機関から提出された資料から、被相続人や相続人の国外送金、国外からの送金受領を調べて、海外資産の検討をつけることが出来るため、国外送金等調書は相続税にかかわらず、海外事案の調査でよく用いられているようです。

 国税当局は、

  • 相続や遺贈で取得した財産に海外資産がある。
  • 相続人、被相続人が国外に居住している。
  • 海外資産に関する資料情報がある。
  • 外資系金融機関との取引がある

といった国外資産が絡む相続への監視を強めています。

 国際課税に関する今後の方針を定めた「国際戦略トータルプラン」で国税当局は資産フライトに攻め入る姿勢を打ち出してきており、今後は海外資産への調査がさらに強化されていくとのことです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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