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 個人年金保険の年金は、保険料を支払った人が年金を受け取るときは所得税の対象となります。一方、保険料を支払った人と年金を受け取る人が別人のときは、年金の受取開始時にその時点の年金の評価額に贈与税がかかり、2年目以降の年金受取には初年度の評価額から運用で増えた部分に所得税がかかります。

 実際にモデルケースを例にとり、税金の計算をしてみましょう。

 

■モデルケース

契約者:30歳男性(=保険料負担者=年金受取人)/年収は所得税率10%に該当
保険料払込期間:60歳満了
年金開始:60歳
年金額:60万円(10年で600万円)/一括の場合 5,695,920円
月額保険料:15,582円(総支払額は5,609,520円)
※ここでは配当金で買い増しされる年金額は考慮しないこととします

 

 個人年金保険の保険料を負担した人と別の人が年金を受け取るときには贈与税がかかってきます。その贈与税は、年金受け取り開始時の段階で今後受け取ることができる年金の権利(年金受給権)の評価額に対してかかりますが、年金受給権評価額は、(1)解約返戻金の額、(2)一括で受け取るときの金額、(3)予定利率等をもとに計算した金額のうち、もっとも大きい額となります。

 ここでは、モデルケースの一括受取金額 5,695,920円として贈与税額を計算します。贈与税には基礎控除があり、基礎控除110万円を差し引いた額に税金がかかります。
モデルケースの場合、他の贈与がないとすると、課税価格は
5,695,920円 - 1,100,000円 =4,595,920円
そして、このときの贈与税額は、
4,595,920円 × 30% - 65万円 = 728,776円 となります。

このように贈与税になると、受け取る年金にかかる税金が非常に大きくなってしまいます。さらに、この場合に年金を毎年受け取っていくと、10年間に受け取れる年金額600万円から贈与税の対象となった5,695,920円を差し引いた金額相当額に雑所得がかかります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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