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 ゆうちょ銀行の預入限度額が4月から、現在の1300万円から2600万円に倍増されることになりました。金融庁は「大幅な引き上げは民業圧迫になる」と抵抗してきましたが、政府の郵政民営化委員会が利便性向上を盾に押し切りました。金融界から落胆の声と共に聞こえてくるのは、麻生太郎財務相・金融担当相への恨み節です。

 ゆうちょ銀行を傘下に持つ日本郵政は「退職金を預かりにくい」などと主張し、通常貯金を規制の対象から外すよう求めてきました。これに対し金融庁や銀行が反発。ゆうちょ銀行は日本郵政が89%出資し、その日本郵政の株の過半数は国が持っているために完全民営化とは程遠く「不公平」な競争になるからです。麻生氏も金融庁に「一歩も譲るな」と檄を飛ばしてきました。

 昨年12月21日、閣議後に開かれた記者会見で、金融庁担当の読売新聞記者が限度額変更の見通しを麻生氏に問いただしたことがありました。麻生氏は「顔を見ていると詳しくなさそう」「全然知らないんだな」と記者に嫌味を言いながら、「マイナス金利で生じた赤字を財務省に持ってくるのか。『赤字になった分を税金で埋めてくれ』というのは本末転倒」「増えた貯金を運用できず日銀の当座預金に入れるしか手がない」と、郵政側を痛烈に批判しておりました。

 しかしそのわずか5日後、民営化委員会は「限度額2600万円」を認める報告書を公表。日本郵政が保有するゆうちょ銀株の2/3未満までの売却や、貯金獲得時に郵便局員に支払われる報奨金の撤廃などを求めましたが結果は期限を明示しない「大甘容認」でした。ある地銀幹部は「自民党の集票組織である全国郵便局長会の要望通り。これは今夏の参院選対策。麻生大臣の二枚舌には辟易する」と激怒。

 金融庁でも「麻生氏は菅義偉官房長官との直接折衝で折れたのでしょう。親分が八方美人だと闘いようがありません。」と漏らす幹部がいるほどで、麻生氏の求心力は一気に低下したと言えそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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