第533話 別居婚税務

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 ロック歌手で俳優の内田裕也さんが、妻で女優の樹木希林さんの死去からおよそ半年後の3月17日、肺炎のため死去しました。内田さんと樹木さんといえば、夫婦関係を45年続けながらも、結婚の一年半後からずっと別居状態だったという結婚生活を送っていたことでも知られています。しかし生活は別々でも、相続対策において二人は連携がとれていたようです。樹木さんは都内に8つの不動産物件を持っていましたが、内田さんは樹木さんの死去の際にその物件を全て相続しなかったといいます。

 資産は現金で持つより不動産で持つ方が相続税の計算の際の相続評価額を抑えられるため、自分が他界した時に残される人の税負担の軽減を意識して現金を不動産に替えたとみられます。そして一部報道によりますと、内田さんは樹木さんの相続権を放棄したとされていますが、少なくとも樹木さんが都内に保有していた8つの不動産物件に関しては内田さん名義にはならなかったそうです。これは子供の税負担を大幅に軽減することを考えた樹木さんの意思を尊重し、内田さんが財産の受け取りを放棄したものとみられます。

 仮に法定相続に沿った遺産分割をしていれば、内田さんに樹木さんの財産の半分が渡ります。その時点で課税されるとともに、さらに今回の内田さんの相続で子供が同じ財産に2度課税されてしまうことになります。しかし、内田さんの相続放棄によって樹木さんの相続財産の全てを子供が受け取れたとすれば、内田さんの相続で同じ財産に2度課税されることはなくなります。

 なお、法律上の夫婦間の相続では、たとえ別居をしていても1億6千万円まで無税になります。

 内田さんが提出した離婚届は樹木さんが提起した裁判で無効となりましたが、仮に裁判で認められずに離婚が成立し、樹木さんが子供の親権を得たとしたのなら、婚姻関係を解消した内田さんは別の人と再婚することも可能となります。

 そうなれば内田さんの相続財産の半分が再婚相手のものとなる可能性がありますので、その再婚相手が死亡しても樹木さんの子供にその分の財産は受け継がれないことになります。すなわち子供が両親の全財産を引き継ぐには、法律婚の継続が有効といえます。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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