第535話 イチロー選手から学ぶ資産管理と節税策

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 シアトルマリナーズのイチロー選手が、28年間の現役生活にピリオドを打ちました。稼いだお金は年俸やスポンサー料を含めてざっと200億円。さぞかし税金面では苦労しているかと思いきや、しっかり者の弓子夫人が代表を務める資産管理会社をシアトルから1200キロも離れた全米でも税金の安いネバタ州に置くなど、抜かりなく対応しているようです。また、報酬の一部を「引退後払い」とすることで、利息分を上乗せするなどの資産運用もしていると聞きます。

 イチローは引退会見の席上で「神戸に税金を少しでも払えるようにがんばる」と、過去に在籍したオリックス・ブルーウェーブの本拠地・神戸への貢献を誓いましたが、現時点では今後もアメリカに税金の大半を納めることが濃厚といえそうです。

 所得税の税法上、課税対象者は原則日本に継続して住んでいる「居住者」に限られるため、イチローは「非居住者」として基本的に所得税の課税対象者ではありません。引退後は所属球団のマリナーズで役職が与えられるみたいですので、その収入もアメリカでの課税対象となりそうです。

 ただし、非居住者でも日本国内での源泉所得には課税されます。例えば、スポンサー料はその一部といえます。この場合、収入の2割が日本で源泉徴収され、イチロー個人への支払であれば分離課税として、資産管理会社に支払われるのであれば総合課税として税金が課されます。

 そしてイチローの資産は、妻の弓子さんが運営している資産管理会社で管理されていますが、そのことによる税金メリットも大きいです。法人で管理することで、個人での管理と比べ、経費にできる支出の幅が広がります。

 特筆すべきは、資産管理会社をネバタ州に登記している事。ネバタ州はアメリカでも法人の実効税率がひくいことで知られています。

 イチローの生涯年俸とスポンサー収入を合わせると最低でも200億円を超えるとされており、その年俸の一部や年金を引退後に受け取ることになっています。経済誌『フォーブス』によりますと、2007年に5年で9千万ドルの契約を結んだ際には、1年あたり500万ドル分を後払いとすることにしたといいます。受け取るのは引退翌年の2020年からで、現在のレートでの換算だと、少なくとも27億5千万~33億円はこれから受け取れることになります。

 報酬の一部を後から受け取れるメリットは、利息分を合わせて受け取れることにあります。後払い分の報酬には5.5%の利息分も上積みされる予定です。

 この他、イチローは年俸の後払い分に加え、「MLB年金」も今後受け取れることになっています。イチローのように在籍10年以上になれば満額(約2千万円)を62歳から毎年受け取れることになります。

 誇りをもって取り組んだ仕事で多額の貯えを築けたというのは羨ましい限りです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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