第551話 重さの違う税務調査

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 2015年の国税通則法改正によって事前通知制度が導入されて以降、実地調査件数は下降傾向にありましたが、昨年あたりからは、ほぼ横ばいで推移し落ち着きを見せています。税務調査というと映画『マルサの女』の影響か、「マルサが来る」と思い込んでいる人が意外と多いのですが、一般に「税務調査」と言えば、税務署や国税局が行う任意調査をいいます。任意とはいえ国税職員には「質問調査権」があり、納税者は質問を拒むことや黙秘することは認められていませんので、実質は「間接強制調査」といえるかもしれません。なお、正当な理由のない調査拒否は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を受けることになります。

 ここでいう「税務調査」は、調査官が現地を訪ねる実地調査を指しますが、署内で審査する「机上調査」と呼ばれるものもあります。実地調査のための調査で、「準備調査」ともいわれ、所得税や法人税であれば比較的すぐに実地調査するかどうか判断されますが、相続税ならば申告から数年後に実施に移されることもあります。

 そして、国税通則法ではなく国税犯則取締法に基づいて強制的に行われるのが国税局査察官(マルサ)による強制調査です。脱税が多額で悪質と判断された容疑者の事業所や自宅が事前通告なしで調査されます。非常に強い権限があり、裁判所の令状まで持ち、資料押収も可能。もちろん嫌疑者(マルサは納税者ではなく嫌疑者といいます。)に拒否権などありません。犯則調査に黙秘権はありますが、査察官はそのことを嫌疑者に告知する必要はありません。

 ちなみに2017年の税制改正で国税犯則取締法は国税通則法に編入されました。2018年4月から施行されています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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