cd0f892133381a40d03c9bc91da97d68_s

 7年間で1億2千万円の申告漏れを東京国税局に指摘されたチュートリアルの徳井義実さんが、過去数回にわたり無申告を繰り返していたことで、毎年申告をしている経営者から不満の声が挙がっています。徳井さんは過去に法人税本税や無申告加算税を納付することで重加算税を逃れてきました。悪質な所得隠しには重加算税が課税されるのに、無申告には重加算税は課されることは多くありません。徳井さんのケースでも重加算税は課されませんでした。

 徳井さんが国税当局に指摘された申告漏れや所得隠しの内容を見てみますと、2012年~15年は、無申告でしたが税務署から指摘されてから申告しましたが私用の旅行代や洋服代などの経費計上による所得の過少申告により、重加算税が課されました。しかし2016年~18年は無申告でこれについては重加算税の対象になりませんでした。

 重加算税が課税されるのは、所得隠しについて「仮装もしくは隠蔽」の意図があったと税務署が判断した時に限られます。この点が無申告に対する重加算税の課税を難しくしています。

 国税職員への研修を行う機関「税務大学校」がまとめた論文集を紐解きますと、「何をもって『隠蔽又は仮装』と判断するのか困難である」との国税職員の嘆きが記されています。無申告は過少申告と違い帳簿などの証拠書類が不足していることから、仮装・隠蔽の意図を読み解くことは困難です。

 「意図的に無申告としたわけではない」と徳井さんが弁明をしたのなら、国税当局はその主張を崩さない限り重加算税を課すことができなくなります。もし重加算税を無理に課せば、不服申し立てや裁判になる可能性がでてきます。それならば国税が算定した額を支払ってもたった方が良いことになります。

 徳井さんは国税当局の「言い値」に従い数千万円を納税しています。その金額に含まれる無申告加算税は、通常より上積みされていると見られます。というのも、無申告加算税は通常は最大20%ですが、過去5年以内に無申告加算税を課されていた人はその税率が30%に引き上げられるためです。

 副業レベルの少額の収入しかない人ならまだしも、一定以上の収入がある社長や法人が無申告であれば、税務署が見逃すはずがありません。

 

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。