最近、仙台での仕事が忙しいせいか、ちょっとした調味料位ならネットを使って買い物をしております。今回は、ネットで強制的に財産が売られてしまうという恐ろしいお話です。
相続税であれ、なんであれ税金を滞納すると国税徴収法に則って国税滞納処分の手続きが行われます。その中の手続きの一つ、国税庁が実施するインターネット公売とは、国税徴収法の規定に基づき、滞納国税を徴収するために、全国の国税局長(沖縄国税事務所長を含みます。)又は税務署長(以下「税務署長等」といいます。)が滞納処分により差し押さえた財産を、競り売りの方法により売却するものです。
その税金を滞納した人から国税当局が差し押さえた財産が出品されるネット公売に、今回、有名バンドの「黒夢」の名称やそのアルファベット表記「KUROYUME」の商標権が出品されました。
黒夢は94年のデビュー以降、若者を中心に人気を博したロックバンドで、99年に活動停止しておりましたが、2010年に活動を再開し、11年にはアルバムも発表しております。
国税当局がネット公売によって出品できる財産は、原則的に税金の滞納によって差し押さえられた不動産や美術品、車といった物品だけではなく、資産価値のある商標権も対象になります。
すでに公売の参加申し込みは終了しており、最低入札価格は「黒夢」が25万円、「KUROYUME」が3万8千円となっており、購入者はインターネットで配信する音楽ファイルやさまざまな商品に名前を使うことができるようになります。
滞納した場合の対応は、国税・地方税でも、概ね同じ流れです。まず、手紙で督促のお知らせがきます。それが何度か続き、電話がかかってくるようになります。ここで適切な解決策を見出せずにいると、財産調査が入り、状況に応じて、差し押さえ、換価処分となっていきます。
税金を滞納していると、法人ならば、まず借り入れができません。公共事業の入札なども無理でしょう。事業用の資産が差し押さえられたら、それこそ倒産の危機に瀕します。個人の場合でも、差し押さえは手持ちの財産だけに留まりません。最低限の生活費以外は、給料などの収入も差し押さえの対象になるのです。およそ、心休まる事態ではありませんね。
開き直った悪質な滞納者は言語道断ですが、なかには病気など、やむを得ない事情で滞納してしまうケースも少なからずあるようです。
滞納税額は完納するまで、延滞税や利子税などのペナルティがついてきます。絶対に放置してはいけません。
こうなる前に、税理士などの専門家はいなかったのでしょうかね。