仙台もだんだんと寒くなって、秋の気配が濃くなってきています。
秋といえば、皆さん、柿とか秋刀魚を連想するかもしれませんが、大抵の税理士が最初に連想するのが、税務調査なんですよね。そうなんです。今年も税務調査の件数がピークを迎える秋がやってきました。
平成27年1月1日以降開始した相続から、従来の基礎控除額が4割カットされたことによって今後相続税の申告件数は増加していくでしょうし、それに伴って税務調査も増えることが予想されます。
国税庁の年次レポートによると平成24年から26年事務年度における相続税の調査実績は、課税件数の約4分の1が調査対象になっており、このうち約8割強が何らかの非違が見受けられました。さらに重加算税が賦課された割合も⒑%を超えております。
実地調査1件当たりの平均申告漏れ課税価格は2,500万円強であり、本税と加算税を合わせた追徴税額の平均は450万円から500万円と高額になっております。つまり、相続税申告は非違割合が高くて重加算税の賦課割合も高い点に特徴があります。
次に税務調査において申告漏れを指摘された財産の中で各種財産の占める構成比割合は、有価証券と現預貯金が、ほぼ50%であり、土地の15%程度と比較しても3倍の比率となっております。
かつては、無記名の金融資産が財産の隠匿が容易であると称された時代もありましたがその後厳しく実態解明がなされ販売が下火になっております。また、割引金融債や郵便貯金も財産の隠匿が容易であると称された時代もありましたが、名寄せの技術が向上したことにより、これも不明朗な問題点は減少してきております。
次に、課税財産漏れの主要原因とされるのが名義株・名義預金であります。名義株・名義預金とは、形式的には被相続人以外の名義であったとしても実質的に被相続人に帰属するものであれば相続税の課税対象となる財産を指します。この実質の判定基準として挙げられているのが
① その財産またはその購入原資の出捐者
② その財産の管理及び運用の状況
③ 贈与事実の有無
④ その財産から生ずる利益の帰属者
⑤ 被相続人とその財産の名義人並びにその財産の管理及び運用をする者との関係
⑥ その財産の名義人がその名義を有することとなった経緯
以上の要素を総合的に考慮して判断する方法であります。
マイナンバー制度の創設、導入を受けて、今後は個人資産の把握が容易になるといわれています。すなわち、相続開始時点で被相続人の名義となっている金融資産のみならず、配偶者や子・孫名義として分散している金融資産の動きも簡単に判明することになると思われます。