2016年度の生理学・医学ノーベル賞の受賞者に、「オートファジー」の仕組みを解明した日本の名誉教授である大隅良典氏が選ばれました。日本人のノーベル賞受賞者が近年連続で続いてきているので、かなり嬉しいニュースです。
ところで、ノーベル賞の賞金っていくらもらえるのでしょうか?
結論から書くと、基本的にもらえる賞金は1000万スウェーデンクローナ。
2016年10月の為替レートから日本円に換算すると、約1億2000万円の賞金が出るようです。なぜ「基本的に」なのか?というと、資金繰りをしているのが政府ではなくノーベル財団だからです。なので、その年の財政状況などをモロに受けてしまう立場にあるのです。ノーベル財団は、設立者であるアルフレッド・ノーベルの遺産をもとに、お金を増やしています。具体的には不動産や株のやり取りなんかですね。この運用で増えた分の利子などを元に、その年の受賞者に対する賞金を決めているということでした。
ちなみに、大隅良典さんがもらった賞金は800万スウェーデンクローナ(約9500万円)。
例年より少し低めとなっているようですが、それでも一億近くの賞金をもらえるのは素晴らしいですね。
第13話でも触れましたが、これらのノーベル賞の賞金には税金がかかりません。
そこで気になってくるのが、「そもそも資金とかの財源はどこからわいて出て来るの?」ということ。ノーベル賞といったらかなり前からある賞というイメージが強いので、さすがにノーベルさんの遺産も無くなってしまうんじゃないかと思いますよね。
資金源については、ノーベルさんが残した遺言に沿って確保しているということでした。
遺言の原文を日本語に訳したものは、次のようになっています。
残りの換金可能な私の全財産は、以下の方法で処理されなくてはならない。私の遺言執行者によって安全な有価証券に投資された資本で持って基金を設立し、その利子は、毎年、その前年に人類のために最大の貢献をした人たちに、賞の形で分配されるものとする。
簡単に言ってしまうと「絶対に潰れない会社にお金を預けて増やしましょう!」ということです。
お金を預ける相手は絶対に潰れない大手の会社や法人です。
安全に基金を増やして、学者に賞金として渡すのがノーベル財団の役割なのですね。
過去には資金の調達が危なくなったときもあったようなのですが、今ではなんとか現状維持できているみたいです。
しかし、ノーベル賞の賞金でも出どころが違う例外の賞があります。
それは、「ノーベル経済学賞」。
ノーベル賞には物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞、経済学賞の6つの部門がありますが、経済学賞だけはノーベルの遺言には無く、あとから付け加えられた賞なのです。
ノーベル経済学賞の正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞」といって、1968年にスウェーデン国立銀行が設立300周年祝賀の一環として、ノーベル財団に働きかけ、設立された賞なのです。
そのため、この賞だけはノーベル財団からではなくスウェーデンの中央銀行から基金として支払われます。
となると、ノーベル賞を受賞して得た賞金は非課税となりますが、その根拠は、所得税法第9条13項ホの箇所に「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」とあり、ノーベル賞の賞金のうち「物理学賞」「化学賞」「生理学・医学賞」「文学賞」「平和賞」に関してはノーベル基金から支払われるため、日本国内では非課税です。しかし、ノーベル経済学賞についてはスウェーデン中央銀行から支払われるため、現行の所得税法下では賞金は課税対象となってしまいます。もし日本人からノーベル経済学賞受賞者が生まれたら、法改正が行われるかもしれません。
ちなみに、今日は、松島ハーフマラソン大会の日でした。仙台からも多数参加していたそうですが、私はとてもマラソンは走れません。税理士の先生方にも参加された人たちがいたとか。どうもお疲れさまでした。