仙台では、連日の晴れで絶好のゴルフ日和が続いておりましたが、今日は久しぶりに小雨が降っております。季節柄、雨が降るとかなり寒さが増してきたように感じます。
今日は、相続税に対する考え方でどのように相続税の課税方式が変わるのかを考察してみたいと思います。
相続税には、遺産税方式と遺産取得税方式の2種類の課税方式があります。
遺産税方式は、人が死亡した場合に、その遺産に対して課税する方式であり、相続人が実際にいくら相続したかは関係ありません。遺産が大きければその分相続税も増大する仕組みです。これは、被相続人が生前において受けた社会及び経済上の各種要請に基づく税制上の特典その他租税の回避などにより蓄積した財産を把握し、所得税の後払いとして死亡した時点で、相続税を課して所得税を清算するという考え方や、人は生存中に蓄積した富の一部を死亡にあたって社会に還元すべきであるという見地から考えられた方式であります。つまり、被相続人に対して課税を行おうというものであります。現在、アメリカやイギリスなどで採用されております。
一方、遺産取得税方式は、各相続人が相続した財産に対して課税する方式であります。
死亡した人の遺産の大きさに係らず、各相続人が相続した財産が大きければその分相続税も増大する仕組みとなっております。これは、相続人が相続という偶然の事象によって得た不労利得に着目して課税を行おうという見地から考えられた方式であります。
つまり、遺産を取得した相続人の担税力に着目して、一時所得に類するものとして、相続人の所得税を補完する位置づけとして相続税を捉えており、相続人に対して課税を行おうというものであります。現在、ドイツやフランスなどで採用されております。
日本では、明治38年日露戦争の戦費調達の一環として相続税法が創設され、当時は、遺産税方式が採用されておりました。しかし、昭和25年シャウプ税制以降は、財産の無償取得に対する課税として相続税を捉え、遺産取得税方式に基づく体系となりました。
ただし、遺産取得税方式によった場合、遺産の仮装分割を助長して公平さを失うことや事実上分割困難な財産を相続した場合に相続税負担が重くなるという問題が生じたことから、遺産分割の状況によって大きく負担に差異が生ずることを防止する必要が生じて、昭和33年、税額の計算において遺産税方式の要素を一部取り入れるよう改正がなされました。現在においても、まず遺産総額を法定相続分で相続したと仮定して相続税の総額を求めて、その総額を各相続人が実際に取得した割合に応じて負担するという「法定相続分課税方式に基づく遺産取得税方式」が採用されております。
遺産税方式の要素を取り入れつつも、遺産取得税方式をベースとした体系となっているのが、昭和33年以降現在まで続く日本の相続税の体系なのです。