今年の仙台は、気温の変化が激しすぎます。昨年よりも19日も早く初霜が観測されました。車のタイヤもスタッドレスに交換して一安心していた時に、ドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を破り、アメリカ大統領選挙に勝ったとのビッグニュースが流れました。これには驚きました。しかも、アメリカ全体での得票数はヒラリー氏6084万票、トランプ氏6027万票と、トランプ氏のほうが57万票も少なかったようです。ヒラリー氏は得票数で勝っているので、支持率でリードという事前調査は間違っていなかったみたいです。では、なぜトランプ氏が第45代アメリカ大統領になれたのか。これには、アメリカ大統領選挙の仕組みについて説明しなければなりません。
アメリカの大統領選挙は4年に1度、オリンピックの年に約1年かけて行われるアメリカ最大のイベントです。日本の首相が、ほとんどの国民の関係ないところで選ばれるのと違って、アメリカ大統領は、形は間接投票ですが「国民が選ぶ」という点が大きく違います。
アメリカの議会は、民主党と共和党の二大政党が争っていて、大統領もこの百年以上、どちらかの政党から選ばれています。大統領選は、大きく分けて、民主・共和両党の候補者を1人に絞る「予備選挙」と、両党の候補者から大統領を選ぶ「本選挙(一般選挙)」とがあります。民主党は6人、8年ぶりの政権奪還を狙う共和党は18人が立候補を表明しました。(オバマ大統領は、すでに2期の8年間大統領を務めたので、今回の選挙にはでられません。)
1月から7月まで、共和党では全米50州で「予備選」または「党員集会」が行われます。(予備選は非公開投票、党員集会は公開投票で、州によって異なります)。この予備選・党員集会では、各州の有権者が、自分が選びたい候補者を支持している「代議員」に投票します。たとえば、クリントン候補に投票したい人は、クリントン氏を支持している代議員に投票するわけです。代議員は、州によって人数が異なり、人口に比例して配分されています。この結果、各候補が得票に応じた代議員の人数を獲得し、この獲得人数が多い方が優位に立ちます。
こうして、次々と各州で予備選挙が行われていきますが、その過程で、勝ち目がないと思った候補者は自分から撤退していきます。そして予備選挙の最大のヤマ場は「スーパーチューズデー」と呼ばれる3月第1週の火曜日(今年は3月1日)を迎えます。今回はアーカンソー州、テキサス州など10州以上で予備選・党員集会が行われました。その後も7月末まで、各州で予備選挙が行われ、党の「大統領候補」が1人に絞られます。
そして共和党(7月18日)、民主党(7月25日)に行われる「全国党大会」で、全国の代議員が集合し、党公認の大統領候補が指名されます。その後、いよいよ「本選挙」の選挙戦に突入するわけです。本選挙は、共和党候補と民主党候補の「一騎討ち」となり、約2カ月間の選挙戦に入ります。
そして、いよいよ本選挙の投票です。「一般投票」つまり有権者が投票する日は11月8日。ここでも、有権者は各州の「選挙人」を選んで投票します。選挙人は、予備選の時の「代議員」と同じように、どちらの候補を支持しているか表明しているので、有権者は、どちらかの党のグループに投票し、間接的に大統領を選ぶわけです。
そして開票。これがまた面白いシステムで、その州で1票差であっても最多得票となった政党が、その州全体の選挙人の人数すべてを獲得できるのです(「勝者独占方式」と呼ばれています)。この方式のために、激戦州フロリダ、オハイオ、ノースカロライナ、ペンシルベニアの各州で、接戦の末にトランプ氏が勝利をした結果、大統領になれたのです。
このような形で、各州の勝者と、獲得した選挙人の数が決まります。選挙人は全米で538人存在しているので、その過半数の270人以上を獲得した候補者が、大統領となるわけです。その後も形式だけですが、選ばれた選挙人が集まって12月に投票し、開票は来年1月に行われ、1月20日に正式に新大統領が就任します。
共和党大統領誕生ということで、ブッシュ時代のように相続税は廃止されるでしょうね。法人税についても現行35%から15%への大幅減税を主張しています。
なにかと話題に事欠かない大統領であることは確かです。