天皇陛下の退位をめぐる政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が23日に公表する論点整理の骨格が判明しました。
今の陛下一代に限り退位を認めるのが望ましいとの立場を強くにじませるものの、そのための特例法制定や、対案となっている皇室典範改正といった具体的な法整備の形式には踏み込まないことが前提となります。与野党協議を控え、立法府の議論を尊重する立場を明確にするためです。複数の会議関係者が18日、明らかにしました。
有識者会議は、社会の状況や国民の意識が変わり得るとして、「将来にわたる退位の制度化は困難」との意見で大筋一致しております。ただ、論点整理では、退位を一代限り認める案と、将来の全ての天皇を対象に恒久制度とする案、退位を認めない案の三つの考え方を軸に、それぞれメリットとデメリットを併記しております。
具体的には、一代限りとする案について、国会でその都度、国民の意思を反映した慎重な審議ができることや、状況に応じた柔軟な対応が可能になるといった利点を強調することで、優位性を打ち出す方向です。一方、恒久制度案では、客観的な要件設定が難しいことや、制度が硬直化して退位の強制や恣意的な退位が起こりかねないなどの課題を列挙しております。
有識者会議では特例法や皇室典範改正のほか、皇室典範に根拠規定を置いて別の法律を制定するなど、複数の法整備の形式が議論されました。当初は、論点整理にもそれぞれの是非を盛り込む方向でしたが、大島理森衆院議長の意向として「論点整理で具体的な方向性を出すべきでない」と伝えられたことから、立法形式については会議で出された個別の意見の引用にとどめております。
このように、天皇制の在り方について議論が白熱しておる昨今でありますが、天皇は、そもそも納税の義務はあるのでしょうか? 次回はこれについて取り上げたいと思います。