通常の税務申告では実所得よりも大幅に低い額で申告して、税務調査がなければそれでよし、調査の事前通知があれば観念して正しい所得を修正した申告をしたならば、過少申告加算税はかからず、無申告であっても5%の加算税で済まされてきました。これは、「税務調査によって課税庁による訂正が行われるだろう」という予測がされる前であることを条件に認められてきたものです。つまり、税務調査される前段階で修正した申告をすれば罰則は課されないことを意味します。
しかし去年の税制改正により、今年以降に期限を迎える税務申告から、税務調査される前段階で調査通知後に修正された申告書が提出されたとしても納付する税額に5%の過少申告加算税が課せられるようになりました。その際、期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超えた部分は10%の割合となります。また、無申告者が事前通知を受けてから提出する申告に対する無申告加算税は、5%から10%に引上げられています。(50万円を超える部分は15%)。
さらに、短期間に繰り返し行われた無申告や仮装・隠ぺいの罰則も強化されております。
どういう事かといいますと、5年以内に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税が課された事実があった場合には、無申告加算税は15%から25%に(50万円を超える部分は20%から30%に)、過少申告加算税に代える重加算税は、35%から45%へ、無申告加算税に代える重加算税は、40%から50%に大幅に引き上げられています。
今回の改正により、納税者保護の観点が薄れ、事前通知制度が形骸化するようなことにだけはならないでほしいと思います。