皆さんは、「死後離婚」という言葉を聞いたことがありますか?
夫の死後に、夫の親族と縁を切ったり、籍を抜いたりすることですが、そういう方々が増えています。
死んだ夫を許せない、残された舅や姑の世話なんて無理、同じ墓に入りたくない…など、様々な思いが伺えます。
「ずっと離婚したかった。」「死んでくれてやっと自由になれた。」
こんな思いを抱えて生きてきた人は、夫が亡くなった今からでも離婚したい気持ちが強いかもしれません。
実は、「死んだ夫と離婚する」というような制度はありませんし、必要もありません。
なぜなら、配偶者が死亡すると婚姻関係も終了するため、離婚届を提出することをしなくても、離婚したのと同じような状態になるからです。
そのため再婚をすることもできます。
通常の離婚であれば、離婚と同時に夫や夫の親族との関係が断たれますが、夫が亡くなった場合は、夫との婚姻関係は終了するものの、夫の親族との関係は変わらずに続きます。
結婚当初から姑にいじめられていた妻などは、夫の死後も姑との関係が続くなんてとてもかわいそうですよね。
そういう方は、「姻族関係終了届」を役場に提出すれば、夫の親族との関係を断つことができます。
通常の離婚であれば、離婚後に旧姓に戻るか、婚姻時の苗字を名乗り続けるか選択できます。
一方、夫が亡くなった場合は、苗字をどうするか選択する場はとくに与えられません。
とはいえ、旧姓に戻すことはできます。
もし、「夫の苗字から解放されたい。」という場合は、「復氏届」を市町村役場に出せば、結婚前の名字に戻すことができるし、戸籍も別にすることができます!
注意点としては、子供の苗字は「復氏届」を出しても変更されません。
子供の苗字も変更するには別の手続きが必要になります。
まず、「子の氏の変更許可申立書」を管轄の家庭裁判所に提出し、子供の苗字を変える許可が出た後に、「入籍届」を市区町村役場に提出することが必要となります。
ちなみに、妻(母親)が「姻族関係終了届」を提出しても、子供と夫の親族との関係は断つことができないため、こちらも注意が必要です。
それでは、遺族年金はどうなるかは次回にご説明します。