第84話の続きですけれど死後離婚した場合に、遺族年金はどうなるかの答えは、「もらえる」ことになります。
「姻族関係終了届」を提出して夫の親族との縁を切っても、「復氏届」を提出して旧姓に戻しても、「新戸籍」を作って夫の戸籍から抜けても、遺族年金をもらい続けることができるのです。
というのも、遺族年金をもらう権利を失うのは、以下に該当した場合との定めがあるからです。
- 受給者が死亡したとき
- 受給者が婚姻したとき
- 受給者が直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき
- 離縁によって死亡した被保険者との親族関係が終了したとき(離縁=養子縁組解消のこと)
- 30歳未満で遺族厚生年金のみ受給している妻(子がいない妻)が受給権発生から5年を経過したとき
そういえば、第6話で後妻業の話をしましたが、主人公の小夜子が遺族年金欲しさに大富豪と結婚後に殺した後、結婚しなかったのは、こういう理由があったからです。
もちろん、死後離婚によって遺産相続をもらえなくなることはありません。
遺産相続の権利は、配偶者が亡くなった時点の関係性(相続人であるか)で判断されるため、夫の死後にどうしようとも遺産相続を受けることができます。
なお、夫の死後に舅や姑が亡くなった場合は、死後離婚してもしなくても子供(姑にとっての孫)にその遺産相続の権利がいきます。
あとお墓の問題なのですが、夫婦だから、親族だからといって、同じ墓に入らなければならないということはありません。もちろん、そんな法律もありません。ですから本当は、同じ墓に入りたくないという理由で「姻族関係終了届」を提出する必要はないのです。
とはいえ、夫の親族に「なぜ嫁に来たのにうちの墓に入ってくれないの?」「うちのお墓を守り続けてね」など言われると、断りにくいものがありますよね…。そんな時は「姻族関係終了届」で夫の親族との関係を断つことが手っ取り早いと思われます。
ただ、姑と同じ墓に入りたくないけれど、夫の墓参りはしたい…なんていう場合は注意が必要です。
絶縁状を突きつけられた姑が、「縁を切ったのなら墓にも近づかないで!」と怒ってしまう可能性がありますので…。
いかがでしたか?
死後離婚については期限はありませんので、じっくり考えてベストな選択をしていただければと思います。