大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に小学校建設用地として評価額より大幅に安い価格で売却された問題は、通常の国有地売却とは異なるいくつもの不可解な点が浮上しております。何が問題として指摘されているのでしょうか?
主な焦点は売却額が適正であったかという点です。土地評価額は9億5600万円とされましたが、学園側が負担する廃棄物撤去費用などとして8億2200万円が差し引かれ、最終売却額は1億3400万円。会計検査院は今後、今回の売買価格や手続きが適正だったか調べることになります。
問題となっている小学校の建設用地(8770平方メートル)は、もともとは民家の跡地で、上空が大阪空港への飛行ルートに当たるとして、国土交通省大阪航空局が騒音対策のため保有しておりました。国は、浅い土中に鉛やヒ素の土壌汚染や、廃材などのごみが埋まっていることを確認した上で、平成25年6月に売却先を公募したところ、学園側が取得を希望したといいます。
ただ、学園側は「購入するためのまとまった資金が用意できない」と主張。売却交渉を進めた財務省近畿財務局は27年5月、学校建設としては異例の10年間の定期借地契約を締結しました。この契約は期間内の希望時に「時価」で購入できるという特約付きです。
さらに国に代わって汚染土壌を入れ替える対価も国が支払うこととされ、学園側に1億3100万円が支払われております。
こうして校舎建設工事がスタートしましたが、28年3月、学園側が「土地の深い地点で新たなごみが見つかった」と報告。財務局側も確認すると、学園側は同月、これまでの方針から一転して土地の購入を財務局側に申し出ました。
地中からごみを撤去する費用の算出は通常なら第三者が行いますが、「開校予定が迫っている」として国が対応。ごみの量を1万9500トンとする大阪航空局の見積もりを基に、撤去などの費用を8億2200万円と算定しました。5月には財務局が鑑定依頼した不動産鑑定士が、土地の評価額を9億5600万円と査定。財務局は6月、8億2200万円を差し引いた1億3400万円で学園側に売却しました。
地中にあったごみは掘り出され、今は敷地内に土砂が交じった状態で山積みになっております。籠池氏はごみの撤去費用について「建設工事中なのでまだいくらになるか分からないが、8億円はかからない見込みです。」と説明。国側は見積もり段階で想定した深さまで本当にごみがあったのか「確認していない」としております。
このように土地の売買にあたっては、様々な問題が発生します。適正な時価であるかによって時には税金が発生するケースもあります。これらについては、次回にお話ししたいと思います。