ふるさと納税は、寄付金のうち、2000円を除く全額が控除でき、実質2000円で特産品が貰えることばかりが報道されていますが、実は控除できる金額には限度があります。
つまり限度額を超える部分は自己負担となります
実際の控除の目安は、住民税の2割程度が限度額の目安です。
計算式で示すと
( 住民税の所得割額 × 20% )÷( 90% - 所得税率 × 1.021 )+ 2,000円
となります。
ふるさと納税の限度額を計算するためには、まず住民税の所得割額を算出する必要があります。住民税の所得割額は、課税所得から導き出すことができます。課税所得は所得から各種控除を引いて求めます。しかし、基礎控除、配偶者控除、扶養控除の3つは、所得税と住民税の計算でそれぞれ5万円の差があります。(一般の控除対象者を前提としております。70歳以上の配偶者や扶養親族の場合は10万円の差、同居している70歳以上の扶養親族の場合は13万円の差、特定扶養親族の場合は18万円の差となりますのでご注意ください。)
例えば、所得税の基礎控除が38万円なのに対して、住民税の基礎控除は33万円です。
また、これらの控除差を埋めるために生まれた調整控除という制度があります。
住民税額がわからない場合は、おおよそ次の算式で求めてください。
( 課税所得 + ※ 5万円 ) × 10% - 調整控除
- 課税所得に5万円を足しているのは、所得税の基礎控除が38万円であるのに対して、住民税の基礎控除が33万円だからです。配偶者控除と扶養控除も基礎控除と同様に
所得税と住民税で5万円の差があります。該当する方は更に足して計算してください。
また70歳以上の控除対象配偶者や扶養親族がいる場合は10万円を、同居している70歳以上の扶養親族がいる場合は13万円を、特定扶養親族がいる場合は18万円を5万円に変えて加算してください。
調整控除額とは、配偶者控除、扶養控除、基礎控除について、所得税と住民税の間に控除額の差が生じているため、その差による影響をなくす目的で平成19年から始まった制度です。次の算式の合計額で求められます。
【課税される金額が200円万以下の人】
1.所得税との人的控除額の差の合計
2.課税される金額
市区町村民税 = 1と2のいずれか小さい金額×3%
都道府県民税 = 1と2のいずれか小さい金額×2%
【課税される金額が200万円を超える人】
1.所得税との人的控除額の差の合計
2.課税される金額-200万円
市区町村民税 = (1 - 2)(5万円を下回る場合は5万円)×3%
都道府県民税 = (1 - 2)(5万円を下回る場合は5万円)×2%
すごく面倒に見えますが実際の調整控除はほとんどの場合【2500円】です。
(5万円×5%=2,500円)
ただし配偶者控除や扶養控除がある人はそれぞれ【+2500円】加算します。
課税所得が200万円を超える人も、基礎控除のみであれば調整控除は【2500円】です。
特別な場合として、70歳以上の控除対象配偶者や扶養親族がいる場合は、10万円×5%=5,000円を加算し、同居している70歳以上の扶養親族がいる場合は、13万円×5%=6,500円を加算、また特定扶養親族がいる場合は、18万円×5%=9,000円を加算します。
所得税率は課税所得で導き出せます。
課税所得 税率
195万円以下 5%
195万円超~330万円以下 10%
330万円超~695万円以下 20%
695万円超~900万円以下 23%
900万円超~1,800万円以下 33%
1,800万円超~4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%
それでは、課税所得が200万円で、嫁と子供2人(13歳の中学生と16歳の高校生)がいる家庭の場合で計算してみましょう。
扶養控除の対象者として16歳の高校生が該当します。
16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満を一般の扶養親族として扱いますので所得税と住民税の所得控除の差額は、基礎控除と扶養控除と配偶者控除の計15万円となります。
嫁は70歳未満を前提としております。
( 200万円 + 15万円 ) × 10% - 15万円×5% = 20万7500円<住民税の所得割額>
( 20万7500円 × 20% )÷( 90% - 10% ×1.021)+ 2,000円 = 5万4011円
よってふるさと納税の限度額は約5万4000円になります。