今日は憲法記念日ですので、憲法と税法の関係について書いてみたいと思います。
憲法第84条 課税の要件
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
これは、租税法律主義といわれるものです。
この原則は、規定の文言からもわかるように、租税の賦課・徴収が必ず国会の制定する法律によらなくてはいけないというものです。
誰が納税しなければならないのか、何に対して課税されるのか、どのくらい税金がかけられるのか、いわゆる課税要件と呼ばれるものです。これだけではなく、租税の賦課・徴収の手続きまで法律で規定する必要があると考えられています。
憲法第84条が定めるこの部分は、課税要件法定主義と呼ばれています。
これに関して一つ問題を出します。それは、通達で課税ができるのかどうかということです。そもそも通達とは、上級行政庁が法令の解釈や行政の運営方針などについて下級行政庁に対してなす命令を意味します。簡単にいうと、大臣や知事などの行政の意思決定をする人たちが、その団体における意思統一をするために部下に処理や解釈を伝えておいて考えを一つにしておくということです。
いままでの話の流れからいうと通達は、法律ではないので、通達で課税することにすれば、憲法第84条に違反することになりますよね。
ただ通達というものが法律の解釈の指針を決めるものなので、通達による課税なのか、通達は単なるきっかけにすぎず法解釈を正しく改めただけなのか区別が微妙な場合があります。かなり前になるのですが(最判昭和33年3月28日)、パチンコ球遊器が物品税の課税対象に当たるかどうか争われた事案があります。これについては次回にお話しします。