平成24年の連帯納付義務の制度改正により、連帯納付義務の解除要件が定められました。その要件は具体的には、下記の2つです。
(1)申告期限から5年が経過した場合
ただし、申告期限から5年以内に、税務署から連帯納付の督促を受けている場合は、引き続き連帯納付義務を負います。
(2)納税義務者が延納、納税猶予を受ける場合
納税義務者が納税の意思を見せて延納または納税猶予の手続きをすることにより、連帯納付義務者には責務を問わないものです。
納税猶予には、農地に関する納税猶予と、非上場株式に関する納税猶予(事業承継税制)があります。
これら2つの要件のうちどちらかを満たせば、連帯納付をしなくてもよくなります。
連帯納付義務は、「相続税が納付されるまで」続く義務制度です。したがって、滞納された納税額が完納される、または解除要件を満たさなければ、国税当局から納付するように通知が来ることになります。
申告期限から5年以内は連帯納付義務がありますので、まずは他の相続人がきちんと納税したのか確認しておくのが良いでしょう。もし納税できていないのであれば、その理由を聞いて、納税するように促し、場合によっては、お金の調達方法をアドバイスすることも必要かもしれません。一番良いのは、遺産分割する時点で、それぞれの相続人が相続税を納税できるように考慮して、遺産を分割することです。現預金の持ち合わせがない相続人には、少なくとも納税用の現金を取得するようにさせます。
ただし、現金が入ったからといって有頂天になって使い込んでしまい、相続税を納税できなくなったというケースもあります。やりにくいかもしれませんが、お金の管理ができずすぐに浪費してしまう人には、なるべく相続させない工夫も必要といえます。