相続人全員の氏名や本籍などの戸籍情報をまとめた文書を相続手続きの証明書として利用する「法定相続情報証明制度」が今月の29日からスタートします。
この制度で相続人の手続きが簡素化することによって相続登記をする人が増えて自治体による所有権者把握が進み、固定資産税の徴収や公共工事がスムーズになることを国や自治体は期待しますが、果たして結果はどうなるでしょうか。
親族が死亡すると、相続人は相続税の申告、不動産登記の変更、銀行口座の解約などの手続きのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍や相続人全員の戸籍など大量の戸籍書類一式を何セットもそろえなければなりません。新制度では、これらの情報を1通の証明書にまとめ、手続きを大幅に簡素化します。
新制度を利用するには、相続人は全国に417カ所ある登記所のいずれかに、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍関係書類と、被相続人と相続人の情報を記した「法定相続情報一覧図」を提出する必要があります。一覧図に記入するのは、被相続人の氏名、住所、生年月日、死亡年月日、相続人の氏名、住所、生年月日、続柄で、作成自体はさほど難しいものではありません。登記所の登記官はこれらの提出書類を確認し、偽造防止措置が施された認証文付の法定相続情報一覧図の写しを相続人に渡します。相続人はこの写しを数枚用意することで、戸籍書類一式を何セットもそろえる必要がなくなります。
制度開始時点である現段階では、不動産登記の際の必要書類として使えるほか、被相続人の銀行口座の解約の際にも基本的に新たな証明書で対応できる見込みです。
さらに経営承継円滑化法で遺留分に関する民法特例の確認を受けるための書類にも利用できます。将来的には、相続税の申告の際にも使えるようになるとのことです。