天皇陛下の退位を実現する特例法が9日午前、参院本会議で自由党を除く全会一致で可決、成立しました。
政府は2018年12月下旬に退位と皇太子さまの新天皇即位を実現させ、翌19年元日に元号を改める日程を軸に検討しており、1817年の光格天皇以来約200年ぶりの退位に道が開かれました。退位後、陛下は「上皇」、皇后さまは「上皇后」となります。
特例法の正式名称は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」。第1条は、83歳と高齢になられた陛下が被災地視察といった公的行為などの継続が難しくなることを「深く案じておられる」と指摘し、「国民は陛下のお気持ちを理解し、共感している」と退位に至る事情を明記しております。
特例法は陛下一代限りの退位を認めるものですが、先例とするよう主張した野党に配慮し、名称に「天皇陛下」の文言は用いず、皇室典範と「一体を成す」との根拠規定を典範付則に加えることも盛り込みました。菅義偉官房長官は法案審議段階で「先例になり得る」と明言しております。
陛下の退位日は法施行日とし、公布3年以内の範囲にて政令で定めるとしました。施行日は、首相が三権の長や皇族で構成する皇室会議の意見を聴いて決定します。政府は国民生活への影響を考慮し、新元号を事前に公表して一定期間を置く方針です。
政府は16日に特例法を公布する予定です。退位などの時期については「19年3月末に退位・新天皇即位、4月1日に改元」とする案が宮内庁にあり、公布後に本格的な調整に入る予定です。
特例法は両陛下の退位後の称号のほか、補佐機関設置など新たな制度を規定し、懸念していた歴代天皇が継承してきた「三種の神器」は贈与税を非課税としております。あと天皇誕生日を現在の12月23日から皇太子さまの誕生日である2月23日に変更します。
新たに皇位継承順位1位となる秋篠宮さまについては、待遇などを現在の皇太子さまと同等としました。称号には「秋篠宮」を残し、敬称に「皇嗣」を付ける方針です。