第330話 「幸楽苑」VS「日高屋」(1)
ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)が激動しています。上場した1997年以来初の赤字決算の見通し。立て直しのために「経営資源の選択と集中」を掲げ、赤字店舗の「いきなり!ステーキ」への業態転換など思い切った策を打っております。
幸楽苑HDに打撃を与えたのは、2016年に「幸楽苑」で発生した異物混入事故です。負傷した従業員の指が商品に混入し、大きな話題となりました。外部専門家を入れた再発防止対策委員会を発足し、安心・安全対策を強化したものの、店舗への悪影響は避けられませんでした。赤字店舗が増加したことから、52店舗の閉鎖を決めております。
18年3月期(17年4月~18年3月)の通期連結業績予想は、売上高388億1900万円(前年比2.6%増)、営業利益2000万円(86.0%減)、純損失は6億7400万円(前期は15億4000万円の黒字)。下期は再飛躍のための期間とし、(1)既存店対策、(2)出店戦略、(3)新業態転換で黒字転換を狙います。
幸楽苑の黄色い看板には、「昭和二十九年創業」と記されています。昭和29年、福島県会津若松市に開店した「味よし食堂」が起点です。その後、株式会社幸楽苑に改組し、看板商品の中華そばとギョーザを核に店舗網を拡大。今では東日本を中心にしたネットワークを有するラーメンチェーン大手です。
一方、幸楽苑の創業から約20年後、昭和48年に埼玉・大宮で中華料理「来来軒」として発祥したのが、ハイデイ日高。現在は主力業態「中華食堂 日高屋」を軸として、首都圏を中心に展開しております。日高屋の看板には、幸楽苑と同じ「中華そば」の文言があります。
ハイデイ日高の17年2月期決算は、売上高が前年比4.7%増の385億円、営業利益は5.3%増の45億円、純利益は5.7%増の29億円です。順調に収益を伸ばしている状況です。
何が両社の明暗を分けたのか。その答えを次回以降、収益構造の違いから探ってみましょう。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
「所長の独り言」一覧はこちら
免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。