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 お笑い芸人が反社会的勢力の忘年会に出席していた問題が話題となっています。現状では、反社会的勢力との付き合いにスポットが当てられていますが、今後は国税当局による脱税摘発に注目が集まるかもしれません。

 吉本興業は闇営業問題でタレント13人を謹慎処分とし、ワタナベエンターテインメントも2人の謹慎処分を発表しました。

 これらの処分は反社会的勢力とのつながりを受けての社会的制裁ですが、今後は金銭面で大きな制裁が待ち受けています。国税当局による脱税の摘発がある可能性が考えられるからです。こうした闇営業のカネは、その場で手渡されるケースが多いと聞きます。いわゆる“取っ払い”です。これなら取りっぱぐれることもないし、領収書なども残さないので税務処理もしないで済みます。今回は仲介したカラテカの入江慎也に振り込まれたうえで、芸人たちに分配されていたようですが、状況的には取っ払いと同じです。多くの芸人は事務所と契約していても、いわば“個人商店”なので税務申告は個人でしていますが、こうした闇の収入は税務申告されていない疑いが強くなります。こうした闇収入は、1回分は大きくなくても、回数を重ねれば相当な額になります。これを国税当局が見逃すわけがありません。

 意図的に売り上げを隠したと認定されれば7年間に遡って調査され、申告させたうえで、さらに重加算税が賦課されます。これに延滞税を加味すれば申告漏れ相当額の追徴課税が課せられます。

 今回、吉本興業は、詐欺グループの集会で宮迫博之さんが100万円、田村亮さんが50万円の謝礼を受け取っていたことを明らかにするとともに、他の若手芸人も含めて「税務修正申告を終えた」と発表しました。

 しかし、国税当局の思考からすれば、闇営業は1回きりではないと考えるのが普通でしょう。入江ルートを個別調査することで、他に闇営業を仕切っている人物が浮かび上がることも考えられます。そこからとんでもない大物が吊り上げられることだって十分にあり得る話です。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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