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請求人の夫名義の預貯金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

 

原処分庁は、請求人の夫名義の預貯金口座からの金員が入金された請求人名義の証券口座について

 

①請求人自身の判断で取引を行っていたこと

②本件口座の投資信託の分配金が請求人名義の普通預金口座に入金されていたこと

③当該分配金等を請求人の所得として確定申告がされていたこと

 

から本件入金は、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当する旨主張する。

しかしながら

 

①請求人は、本件入金の前後を通じて夫の財産の管理を主体的に行っており、その管理に係る全部の財産について請求人に帰属していたものと認めることはできないから、本件口座において請求人自身の判断で取引を行った事実をもって利益を受けたと認めることはできない

②分配金等の入金があっても、請求人が私的に費消した事実が認められない本件においては、これを管理・運用していたとの評価の範疇を超えるものとは言えない

③確定申告をしたことは、申告をすれば税金が還付されるとの銀行員の教示に従い深く考えずに行ったものとの請求人の主張が不自然とまでは言えず、殊更重要視すべきものとは認められない

 

ことなどの各事情を考慮すれば、本件入金によっても、夫の財産は、本件口座においてそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるため、本件入金は、請求人に贈与と同様の経済的利益の移転があったものと認めることはできず、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しない。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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