25日に宮城交通株式会社から仙台市で市営バスのドライバーがポケモンGOをプレイしながら走行し、街路樹と衝突する事故が起きていたことが発表されました。何気によく利用させてもらっている交通機関だけにこのようなニュースを聞くとぞっとします。
私の経歴をみても分かるように、鉄道車掌の経験のある私にとっては、このような事故は、安全軽視このうえない考えられない事故だと憤りさえおぼえてきます。
宮城交通株式会社には、人命第一に社員教育を徹底するよう再発防止に取り組んで頂きたいと切に思う次第です。
話はがらりと変わりますが、最近ニュースで、配偶者控除に関するお話を聞く機会が増えてきました。中身は以下の通りです
『自民党の税制調査会は、配偶者控除を適用できるパートなどで働く主婦の年収制限を現在の103万円から150万円へ引き上げる方針を固めた模様です。ただし、税収の減少を避けるために、夫の年収が「1120万円」を超えると徐々に控除の額を減らし、「1220万円」で控除をなくす方向で調整していることが25日分かりました。また150万円を超えた世帯についても「201万円未満」までは、一定額の控除を受けられる仕組みを導入する方針です。』とのこと…。
まず、皆さんに知っていただきたいのは、税制改正に関する法律はどのようにして出来あがるのかということです。
まず12月に平成29年度与党税制改正大綱が公表されます。税制改正大綱とは、翌年度の税制改正の与党原案であります。その内容は、・基本的考え方・具体的内容・検討事項の3項目に分かれています。政権与党である自由民主党と公明党が税のあり方を、それぞれの党の部会とそれを取りまとめる税制調査会で議論を行い、協議の上、具体的な税制改正案をつくります。今の配偶者控除のお話はその前段階のお話に過ぎないということです。
また一方、各府省庁は、春ごろから税制改正に関するヒアリング等を行い準備します。そして毎年8月末に各府省庁が財務省主税局等に対し、国民各層や各種団体の要望が反映された税制改正要望書を提出します。その後、主税局等は、府省庁との折衝などを行い、税制改正要望一覧を与党部会や税制調査会に提出します。なお、税制改正は予算編成と同時並行して行われます。
与党部会や税制調査会は、財務省主税局等から提出された要望等と独自なものを議論していきます。国会議員がその調整機能を果たしていくことになりますが、1人の国会議員では範囲が広すぎるので、自民党税制調査会、公明党税制調査会が、部会等から受けた税制改正要望の中から、税制改正案を決めていくことになります。税制調査会ではこれに優先順位をつけ、審議を行い選択していきます。また、「マル政」と言われる政策的に重要な事項があり、これらは別途集中審議されます。このようにして税制改正大綱の原案を決めていきます。そして、それぞれ党の政務調査会・総務会の議を経たうえで与党政策責任者会議を経て、与党税制改正大綱が決定されます。
政府は税制改正大綱を閣議決定し、内閣が提出する法律案であることを決めます。閣議決定する内容は、与党税制改正大綱とほぼ一致しますが、具体的内容についてのみに絞られます。これらは、内閣法制局の審査が行われます。
内閣が提出する法律案の原案の作成は、それを所轄する各省庁が行います。税制改正大綱の閣議決定に基づき、国税については財務省主税局、地方税については総務省自治税務局が、それぞれ法律案の原案を作成します。それを内閣法制局で予備審査をします。内閣法制局は、この原案が憲法や他の現行の法制との関係、立法内容の法的妥当性などについて、法律的・立法技術的に検討します。予備審査が終了すると、一定の手続きのうえ内閣官房に回付されます。
内閣官房に回付された法律案は、閣議決定され国会に提出されます。
国会の審議は、最初に提出された議院から始まります。通常衆議院から審議されます。法律案を受け取った議長は、その内容にふさわしい委員会を選んで法律案の審査を担当
させます(付託)。衆議院では、国税の改正案は財務金融委員会、地方税の改正案は総務委員会に付託されます。委員会では国務大臣の法律案の説明から始まって審査に入り、質疑応答を繰り返し委員会で可決され、本会議に送られ審議がなされ最終的に可決されます。
そして、参議院に送られます。参議院の議長は、国税の改正案は財政金融委員会、地方税の改正案は総務委員会に付託します。委員会審議・可決・本会議への送付・本会議審議・本会議可決されますと、税制改正法律案が成立します。(日本国憲法第59条)
なお、法律案は審議の過程で修正されることや、否決されることもあります。
成立した法律は、天皇により公布され、官報に掲載され国民に知らされことになるのです。配偶者控除のお話は次回にしたいと思います。