~ 税金のリスク ~
空き家はたとえ誰も住んでいなくても、固定資産税や都市計画税などの税金は常に発生しています。つまり、空き家を所有しているだけで税金を余分に支払わなければならないことになります。さらに、空き家も不動産ですから相続する際には相続税の課税対象となります。たとえどんなに古い家だとしても、土地にはそれなりの価値がある場合も多いため、建物の見た目だけで価値を判断してはいけません。
このように、空き家は所有しているだけでお金が出て行ってしまう「負の遺産」といえるのです。
そして、平成27年5月に施行された空き家対策特別措置法により、「特定空き家」に認定されて勧告を受けると、固定資産税・都市計画税の住宅用地の特例から外され、税金が約5倍にアップすることになりました。
まず、「特定空き家」というのは、次のような空き家のことを指します。
- そのまま放置すると、倒壊するなど著しく危険性がある。
- そのまま放置すると、著しく衛生上有害である。
- 適切な管理が行われておらず著しく景観を損なっている。
- 周辺の生活環境を考慮すると、放置することが不適切な状態である。
つまり、今にも崩れそうなボロボロの家ということですが、「著しく」という言葉をどう捉えるかは行政の判断次第ですので、所有者が大丈夫だと思っても、周辺の住人の苦情を考慮して、「特定空き家」に認定されてしまう可能性もあります。
そして、「固定資産税・都市計画税の住宅用地の特例」についてですが、通常、住宅が建っている土地は次のような特例が受けられます。
固定資産税…固定資産税の1/6 都市計画税…固定資産税の1/3
固定資産税…固定資産税の1/3 都市計画税…固定資産税の2/3
ところが、「特定空き家」に認定されて勧告を受けると、これらの特例が受けられなくなります。
仮に固定資産税評価額3,000万円の土地(200㎡以内)を所有しているとした場合、特例を適用した場合と適用しない場合の、それぞれの税金額を比較してみます。
固定資産税…3,000万円×1.4%×1/6=7万円
都市計画税…3,000万円×0.3%×1/3=3万円 合計 10万円
固定資産税…3,000万円×1.4%=42万円
都市計画税…3,000万円×0.3%=9万円 合計 51万円
特例適用なしの場合の税金合計は、特例適用ありの場合の税金合計の5.1倍にもなります。