~ 管理のリスク ~
人が誰も住まなくなった家は、想像以上のスピードで劣化していきます。特に木造建築の場合、人が住まなくなると、どこからともなく小さな虫が出てきて家の床や天井を食いつぶしていき穴だらけになります。そして建物が劣化するということは、他人に迷惑をかけるということにもなるのです。
例えば、老朽化した屋根瓦やタイルが剥がれ落ちて万が一通行人にケガをさせたら、所有者はその人に対して損害賠償をしなければなりません。
また、庭などは雑草が生い茂ることが多いため、近所からクレームがこないよう定期的に除草作業が必要になったりもします。
このような管理を怠ると、知らぬ間に不法投棄場所にされたり、犯罪の温床になったりというようなケースもあります。空き家の管理を業者に委託すれば一定の経費がかかるため、第53話でお話しした税金と合わせると非常に大きな出費となります。
~ 行政代執行のリスク ~
今までは、空き家がボロボロな状態になっていても所有者が解体しない限り、そのまま放置されることがほとんどでしたが、空き家対策特別措置法が施行されてからは、行政代執行による強制的な解体が増えています。
放置したら危険な空き家がある場合、まずは行政から所有者に対して、解体するなり維持管理するなり適切な処置をするように助言・指導がありますが、それに従わない場合、勧告を受け、固定資産税等の特例の適用がなくなります。
さらに空き家を放置し続けると、解体の命令が下り、命令違反すると最大50万円の罰金が課せられます。そして、行政代執行により強制的に解体されれば、その費用を請求されます。請求された費用を支払わなければ、所有者の財産や給料が差し押さえられる事態になりかねません。
このような空き家になりそうな家、または、空き家になった家についての対策方法は大きく「売る」「貸す」「維持管理する」の3つが考えられます。次回はその対策法についてお話します。