我々税理士にとって、待ちに待った路線価発表日。
今年発生した相続のうち、最も早く申告すべき1月1日に亡くなった人なら、11月1日が相続税の申告期限になりますので、7月に路線価が公表されれば、期限まで4か月弱の余裕しかありません。
となると、要領のいい先生方は、今年の相続や贈与の案件は、みな平成28年路線価で既に試算しておりますので、29年路線価に置き直す作業に取り掛かることになります。
ちなみに、路線価は「固定資産税」にも存在します。
相続税の路線価は、納税者が相続税を計算するためのものですが、固定資産税の路線価は、市役所が固定資産税を計算するために使うものです。
相続税路線価は、その路線に接する宅地の㎡単価のもととなる数字です。これに、土地の地形に応じ、補正をしたうえで、評価額を算出しますが、この路線価は、おおむね、その年1月1日の国交省調査の地価公示価格の8割水準で決められます。(第1話参照)
ところで、国税庁の公表路線価図では、路線価の付されていない道がたくさんあります。
路線価が付されていない道(私道)に接する宅地については、特定路線価の申請をすることになっておりますが、建築基準法上の道路でないと、道路でないとして特定路線価をつけてもらえず、つきかえされることになります。
そもそも、路線価とは、「宅地の価額が概ね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう)毎に設定する」(財産評価基本通達14)こととされています。
つまり、路線価が付されるのは、公道又は不特定多数の通行する私道だけです。それ以外の道に路線価がついているとしたら、その路線価は、通達に従っていないことになります。にもかかわらず、実は、昭和バブルの頃に、なぜか、全国の私道の津々浦々まで路線価が付けられた時期があったのです。
思うに、当時、仮路線価(現在の特定路線価)を申請した翌年以降は、それが路線価図に掲載されて、そうした路線価が増えていったようです。つまり、私道に、ぺたぺたと、路線価がつけられまくった。これは、当然、おかしいのです。近年見直され、袋地私道などの路線価は、徐々に消されていますが、まだまだ、消しこぼれも多いのが現状のようです。
次回は、路線価がついていない土地の評価についてご説明します。