第355話 割に合わなくなった海外移住 (1)
外国には相続税・贈与税のない国がたくさんあります。例えば中国、香港、シンガポール、オーストラリア、スウェーデン、ロシア、メキシコなどが挙げられます。そうすると、日本の多くの富裕層が、海外移住を考えるようになります。しかし、これをやられてしまうと、日本政府としては非常に困ります。そこで、政府としては、日本の相続税・贈与税がとりっぱぐれないように、とても厳しいルールを導入しています。
結論からいいますと、日本の相続税・贈与税の呪縛から解放されるには、家族全員で海外に移住して10年経過することが条件となります。
ちなみに平成29年3月31日までは、移住して5年経過することが条件でした。これは、平成29年度の税制改正により富裕層への課税が強化されたもので、被相続人と相続人とともに国外居住が5年間超えると海外資産の相続や贈与の際、居住国の税率が適用されるという通称5年ルールがありましたがその期間が10年に変更されたことによります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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