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 税務調査の調査官は納税者の情報を徹底的に調べ上げて調査に臨みます。これに対してこちらが調査官の情報をなにも知らずに迎え撃つというのでは、あまりに一方的です。税務調査のやり方や結果は担当者によって大きく異なります。それぞれの調査官の情報を事前確認しておくことはすなわち、税務調査の「勝率」を大きく引き上げる結果になるでしょう。

 税務調査を受ける前には、会社の財務データや経理処理方法、財産の状況など調査にまつわる様々な情報を確認しておかなければなりません。

 そして「調査官はどのような人物なのか」という情報も調査を受けるにあたって重要な情報になります。本来、税務調査官が誰であろうと同じ税法を基に調査する以上、その結果は同じでなければなりません。しかし実際には、税務調査官ごとに調査能力が異なり、結果が違うものになるのが日常です。調査の傾向をつかむためにも、税務調査便覧による調査官のキャリアのチェックが重要となります。

 職員便覧で確認できる税務調査官の部署と肩書から、税務調査の方向性や深度が見えてきます。例えば、調査官に「情報技術専門官」がいればIT関係の調査を想定できるということになります。また、「国際税務専門官」が担当であれば、国際取引に問題があると見られていることになります。

 税務署には様々な部署がありますが、注意すべきは「特別国税調査官(以下特官といいます)」と「内部部門」です。

 特官は規模の大きな会社を担当します。規模が大きい会社ほど申告漏れと判断される額も大きくなるので当然税務調査も厳しくなります。

 内部部門は、「〇〇課税第一部門」のように各課税部門の第一部門を指します。ただし規模の大きな税務署では、第2部門や第3部門も内部担当部門に該当することもあります。

 内部部門は申告書入力などをする内勤の部署でほとんど税務調査には赴きませんが時々調査担当することがあります。消費税の還付申告に対する税務調査は基本的に内部部門の消費税担当が実施することになっています。

 職員の肩書に関する知識としては、立場が上の職員から順に、統括調査官、上席調査官、調査官、事務官となっています。上席調査官までは基本的に経験年数に応じて決まるために肩書を見れば調査官の経験を知ることができます。

 注意したい職歴としては、税務署の審理専門官や相談官など、法律に詳しい部署の経歴がある調査官が挙げられます。

 さらに調査官として再任用されている署長経験者にも特徴があります。元署長だからといって税務調査能力や法律知識が優れているというわけではなく、むしろ税務調査を得意としない方がほとんどです。

 このような情報が入るので税務調査には事前に調査官の肩書や部署、経歴を職員便覧で確認するようにした方が有利になると思われます。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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