第652話 総額表示の土地建物
土地や建物を売った時には、購入した時の価値、つまり「取得価額」との差に譲渡所得税が課されます。つまり正確な税額を計算する為には取得価額を把握することが必要になりますが、土地付き建物などの売買契約書を実際に見てみると、価格が土地と建物を合わせた「総額」で表示されていることがほとんどです。このような総額表示の物件価格から、どのようにして土地と建物のそれぞれの価格を見分ければよいのでしょうか?
最もシンプルな方法は、固定資産税評価額の土地建物の価額の割合比で按分する方法です。それよりも確実な方法として不動産鑑定士などの専門家による評価を参考にする方法がありますが、これには数十万円という費用がかかります。
少し注意が必要なのは「借地権付き建物」の場合ですが、これについては固定資産税評価額による按分計算ができません。そもそも借地権には固定資産税の評価額というものがないからです。この場合の建物の取得価額は、その建物の時価総額になり、その支払った総額とその建物の時価相当額との差額が、借地権の価額となります。なお、借地権の取得費用を算定する上では、借地の改良のためにした地ならし、地盛り、埋め立てなどの整地費用や借地契約に伴い支出した手数料なども上乗せできます。
また借地権付き建物については、「その取得価額の総額のうち、借地権の対価と認められる部分がおおむね10%以下であれば、強いてこれを区分しなくてもよい」というルールがありますので、按分不要な場合もあります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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