第728話 文化財建造物の評価
相続した不動産は、固定資産税や路線価、そして時価なども含めて財産評価し、そこから相続税を算出します。当然、地価の高い土地や高級物件なら評価額は上がり、必然的に相続税額も高額になります。
この時に地価や構造だけで単純に計算できないのが文化財などの歴史的建造物です。歴史的に価値のある建造物や、著名人が利用した文化的な建物は、一般的な建物よりも価値が高くなります。ですがそれによって相続税額があがるのであれば、税の公平性の観点からいささか問題があります。文化的建造物には、文化保護法で各種制限があり、これに高額な課税負担があっては、文化財の保存という大きな目的を脅かすことになりかねません。そのため、文化財建造物の相続時の評価については、一般的な相続税評価とは違った特例が用意されています。
住居として利用されている文化財建造物の相続では、まずは文化財建造物ではないとして財産評価して、文化財建造物の種類に応じて、重要文化財なら7割、登録有形文化財または伝統的建造物なら3割を控除して計算します。
文化財である住居を相続する人など、そもそもが資産家であることが多いため、富裕層への優遇と指摘されることもありますが、文化財には様々な制約に加えて維持費用も莫大です。そのため、文化財保護の観点から所有者の負荷を下げるという目的もあります。
なお、文化財建造物の敷地外の山や山林などでも、文化財建造物と一体となって価値を形成している土地(借景など)がある場合、その土地についても同等の評価を行うことになっています。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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