第1173話 NISA(少額投資非課税制度)
NISAに関して、口座が乗っ取られたとか金融庁が高齢者限定の制度を創設するとか、様々な報道が出ています。
株式投資について、政府は長期保有すべきものと考えています。これは本当でしょうか?
一般的に、短期保有はハイリスク・ハイリターン、長期保有はローリスク・ローリターンといわれています。要するに、政府の「株式は長期保有すべき」というのは、ローリスク・ローリターン志向だけを重視した〝余計なお節介〟と言わざるを得ません。
ここで長期投資を10年保有として、時代を分けて考えてみます。
1990年までは、高度成長期間であったこともあり、平均収益率は13.2%、標準偏差は5.2なので、ほぼプラスの収益率です。
しかし、高度成長の終わった90年から現在までは、平均収益率2%、標準偏差6.6という状況で、収益率が低下し、リスクの高い金融資産となっています。
株式だけではフェアではないので、国債の平均利回りも見てみましょう。90年から現在までの同じ時期、10年国債では平均利回り1.7%、標準偏差1.8となっています。株式は配当率を上乗せしても、リスクを考えると国債には勝てません。
次に同じ時期について、銀行10年定期を見てみましょう。平均利回り0.9%、標準偏差1.7となります。これは驚くべきデータで、銀行預金の平均利回りが国債より低いというのは本来であればあり得ないことです。
結果からすれば、高度成長が終わってから現在まで、株式、国債、銀行預金を比較すると、国債が最強の金融商品であることがわかります。利回りは確かに株式に劣りますが、リスクを勘案すれば、その差は容認できます。
ところが、NISAで投資できるのは、原則として上場株式、ETF、REIT、投資信託などであり、国債は対象外となっています。
国債が優れた金融商品であるにもかかわらず、NISAの対象外となっているのはなぜでしょうか?
その理由は簡単で、銀行は自らの預金金利が低すぎることを知られずに、お客に預金サービスを提供し、その預金をお客に売らない国債で運用すれば、簡単に利ざやが稼げることになります。
一般国民は、銀行や証券会社らの金融機関を通さなければ国債を買うことはできません。銀行は預金、証券会社は株を顧客に勧め、国債を勧めたりはしません。しかも国も国債を勧めないので、国民の知らないところで、国債は銀行が持っています。
政府が本来勧めるべきは、株式ではなく国債のはずなのに、全くおかしな話です。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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