第1190話 生命保険活用術
相続対策を考えるうえで、欠かせないのが「生命保険の活用」です。生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」の固有の非課税枠が設けられています。例えば、配偶者と子ども2人がいる場合には、生命保険金が1500万円まで課税されずに受け取ることができます。
それに生命保険金は、相続発生後、すぐにまとまった額の現金が手に入りますので、納税資金として余裕ができます。通常、相続財産の多くは不動産であり、分割が難しく、売却して現金化するにしても時間がかかりすぎます。相続発生から10か月後という相続税の申告期限に間に合わせるため、しぶしぶ相場より格安で売らざるを得ないことも起こりえます。生命保険金を相続税の納税資金に充てることにより、そうした不安が解消されます。
現金が手に入るということは、遺産分割にも力を発揮します。例えば、相続財産のほとんどが不動産で、長男が自宅を相続すると次男、三男に分割できる財産がなくなってしまい、遺産分割自体うまくいかなくなることも考えられます。長男を受取人とする生命保険金があれば、次男、三男の法定相続分に見合う現金を支払う「代償分割」という方法が使えます。
まとまった現金が手に入り、受取人の固有の財産になるという生命保険金の特徴は、事業承継の場面でも役に立ちます。中小企業の事業承継では、いかに後継者へ自社株(経営権)を集中させるかがポイントになるため、他の相続人の自社株を買い取らなければならないケースがあります。そこで後継者が受け取った生命保険金が自社株買取の原資になるわけです。
ただし、生命保険のそもそもの役割は、「もしもの時に備えた保障」であることを忘れてはいけません。借入金の返済、社員の給料支給、月々の固定費支払いなど、社長が倒れても待ってくれない様々な支出に対して生命保険は助けになります。
相続税対策目的だけではなく、遺すべきところに財産を遺し、大切な人を失った痛みを少しでも和らげるためのツールとして、生命保険の活用を真剣に考えていきたいところです。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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