マルサといえば、伊丹十三監督の「マルサの女」の映画で一躍名前の知れたマルサ「査察調査」。このマルサ、悪質な脱税行為が明らかで、刑事告発できるような証拠でも出てこない限りマルサが査察調査に入ることはありません。個人的な見解ですが、損益面、つまり、直近の収入が判明するなど、相当な情報を掴まない限りマルサは動かないと思います。ただ、情報収集と収集した情報の分析は積極的に行うと思います。
査察調査は、一般の税務調査とは全く違います。一般の税務調査は「任意調査」といわれ、調査に入るにあたって納税者の同意を得て行われます。税務調査では、基本的に納税者側へ「○月○日に調査に伺いたいのですがよろしいですか」と電話で確認します。日時を決めて、納税者に調査の協力を得るのです。
無予告で調査する場合もあります。例えば、調査が入ることが事前に分かるとお金を隠しかねないような現金商売の業種に対しては、無予告調査が行われます。しかし、一般の税務調査では、無予告といっても電話での事前連絡がないだけで、調査に入る直前には納税者に同意を得ます。
一方、「査察調査」は「強制調査」といわれ、裁判所から令状(臨検、捜索、差し押さえ)を取って行われるので、相手方の同意を必要としません。査察調査は告発を目的にしていますから、内偵段階で確たる証拠を掴むまで動きません。
マルサでは調査のことを「ガサ入れ」などと言いますが、物証が出てくるなど不正の全貌を解明できそうになってから動きます。
この脱税のうちでも特に悪質なものを対象とする「査察調査」について、国税庁が去年の実績を発表しております。次回はこのマルサの実績についてお話ししたいと思います。