第454話 ただでもいらない相続財産
ある地方都市に住む女性は、大規模工場に近い住宅地の敷地を相続しました。
自分が暮らす意思もないため、不動産業者を介して売りに出していますが、立地が悪く買い手が見つかりません。
数年前からは「タダでもよいから譲りたい」としていますが、それでも引き取り手が現れません。
市から届く課税明細書には、土地の固定資産評価額が約350万円とあり、固定資産税・都市計画税の合計額は4万円にもなります。更地であるため、課税標準が6分の1になる住宅の特例が受けられないのです。
どうしても売れず、固定資産税に悩んでおられるのなら、各市町村にある「固定資産評価審査委員会」に、評価額の不服を申し出るのも一つの対策です。
固定資産税は、固定資産の価値である「適正な時価」を課税標準として課税を行うものです。
このため、本来であれば、資産価格の変動に応対して毎年度評価替えを行い、それを基に課税を行うことが理想的ですが、膨大な量の土地・家屋について毎年度評価を見直すことは事実上困難であり、コストを最小に抑える必要もあること等から、土地と家屋については3年間価格を据え置く制度、いいかえれば、3年ごとに価格を見直す制度がとられています。
この価格を見直す年度を「基準年度」といい、今年がその基準年度となります。
今年の4月には、固定資産評価額の見直しがされています。
審査委員会に対する審査の申し出は、原則的には基準年度以外はできないこととなっています。ご自分の固定資産税課税明細書を再度ご確認するいい機会だと思います。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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