第537話 自動販売機の消費税の取り扱い
日本は自動販売機が非常に多い国です。オフィスにも、店舗にも、街の通りにも、たくさんの自販機がありますね。売っているものは、ほとんど飲み物ですが、飲食品だから当然、軽減税率8%だと思うことでしょう。ところが、そうでない場合があります。
自動販売機で販売されているジュースやコーヒーなどの飲料水やパン、お菓子等が軽減税率(8%)の対象となるかどうかは、自動販売機が設置されている場所によって決まります。
例えばオフィスや店舗の廊下、街の通りなど、飲食スペースがない場所に設置されている自動販売機での購入は、軽減税率の対象となります。ただし、そもそも軽減税率の対象から除かれているお酒や飲食品類以外の商品を自動販売機で購入した場合は、標準税率10%が適用されます。
一方ラーメン屋の店内など、飲食スペースがある場所に設置されている自動販売機で飲食品類を購入した場合はどうなるでしょうか。この場合、その自動販売機で購入したお茶やジュース等は店内で飲むものと判定されます。「店内の自動販売機で購入した飲み物を、その店内で飲む」という行為は外食とみなされるため、標準税率10%が適用されてしまうのです。
テーブルや椅子が設置されている休憩所に設置されている自動販売機で飲み物を購入した場合は解釈が難しい部分があります。例えばガソリンスタンドや公園など、休憩スペースと自動販売機が併設されているケースがこれに該当します。
まずは、休憩所に設置されている自動販売機で飲み物を購入し、休憩所でくつろぎながら飲む、という点から考えてみましょう。その場合は「外食」と判定され標準税率10%が適用されるのが自然です。しかし、その自動販売機を利用する人は休憩所で飲む人ばかりではありません。車で飲んだり、歩きながら飲むために飲み物を買う人もいるでしょう。
自動販売機は多くの人が利用するため一概に線引きすることが難しいのですが、この場合は「休憩所で飲んでもらう意図」が重視され、標準税率(10%)が適用される可能性が高いと考えられます。
例えばラーメン店や休憩所に設置されている自動販売機で、持ち帰り用に飲料水を購入した場合はどちらの税率が適用されると思いますか?「店内で飲食しなければ外食には当たらないから、軽減税率が適用されそう」と思うのは当然の発想ですが、この場合は標準税率10%を支払うことになるでしょう。
そもそも休憩所に設置されている自動販売機は、最初から標準税率の値段で設定されている可能性が高いです。そうなると「これは持ち帰るから軽減税率で」とその都度変更することはできません。
ただし、この場合の対応は店によって異なる可能性もあります。
「持ち帰り用に買ったのだから軽減税率が適用されるべき」という主張は解釈としては正しいですが、結局は自動販売機の所有者が設定したルールに従うことになるのではないでしょうか。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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