第707話 相続手続
相続税の申告期限は、相続の発生から10ヵ月です。諸手続きが順調に進んで半年以内に納付まで完了することもあれば、遺産分割でもめて10ヵ月で済まないこともありますが、基本的には相続発生から申告までは10ヵ月ということで、それを前提に相続の諸手続きが進んでいくことになります。
時系列に沿ってみていきますと、まず相続発生直後は、葬儀などでバタバタする中でどのような作業が今後必要になるかを整理する時間です。そもそも相続税が発生するのかを把握するためには、故人の財産を整理する必要があります。生前にすべて準備しておけばよいのですが、実際には亡くなってから初めて発覚する遺産の存在などがあるものです。
四十九日を終えて、身辺が落ち着いてきたあたりで、いよいよ遺産分割などに向けて本格的に動き出すことになります。遺産を受け取るのか、限定承認をするのか、放棄するのかなどの判断は3ヵ月が期限となっております。さらに相続から4ヵ月までに、故人の確定申告(準確定申告)をしなくてはなりません。
そして戸籍謄本や除籍謄本を収集して、故人の財産の一覧の把握ができる頃には、相続の発生から5~6ヵ月は経っている事でしょう。故人の出生までの戸籍謄本の取得のために出身地の役所へ郵送で依頼をしたり、一度は入手した戸籍謄本を何らかの相続の手続で使ってしまって再度取得する必要が出たりするなど、諸手続きには思ったより時間がかかります。
そうした苦労を乗り越えた末の遺産分割協議ですが、相続発生から5~6ヵ月までにまとまるのが理想です。ここで家族がもめた挙句、家族がバラバラになる事も珍しくありません。残された家族のためにも、遺言を残すなどの相続対策をしっかり実行しておきたいものです。
協議がまとまれば、あとは10カ月目の申告期限に向けて諸手続きを進めていくだけです。遺産分割協議書に署名押印して、相続税の申告書を作成します。また協議書の内容に従って、各相続人の不動産の名義変更などもこの時期に行います。あとは納付を済ませれば、相続税の手続はひとまず完了となります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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