第723話 私道
相続財産の中で土地の占める割合は年々減少傾向にあるものの、それでも全ての財産の4割近くを占め、現預金や有価証券を抑えてトップであることに変わりありません。ただ土地は評価が特に難しいので、納税者と国税当局で判断が分かれることも少なくありません。いかに土地の評価額を適正に算定できるかが、申告のカギと言えるでしょう。
評価が難しい土地の中でも、特に判断に迷うのが私道の扱いです。しかも近所の人だけが利用する私道は財産に含むことを失念するケースもみられるので注意しましょう。
近隣の住民だけが通う私道は、原則として、その私道を宅地であると仮定して算出した評価額の30%と定められています。さらに相続人が被相続人と同居していた親族であるなど「小規模宅地の特例」の適用条件を満たせば、宅地と併せて最大330㎡までの面積の評価額を8割減らすこともできます。
私道の評価額を7割減らせる理由は、近所の人も利用していることから、土地活用の自由度が制限されているからです。さらに通り抜けることができるのなら、近所の人のみならず不特定多数の人が利用する私道とみなされ、公共的な位置づけになり相続税の課税対象にすらならなくなります。
つまり、敷地に接している私道であっても、家の所有者だけが使っているのであれば、小規模宅地の特例は適用できるものの、30%に下げる特例は受けられないことになります。また、近所の人だけが利用する私道であっても、宅地がその私道と公道に接していて、私道を使わなくても公道に出られるのであれば、この特例は使えなくなります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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